[第2回] サブスクリプション

サブスクリプションの現状と今後の展望

最近よく耳や目にするサブスクリプション。毎月あるいは毎年、一定の使用料を支払い、商品やサービスを利用できるようにするビジネスモデルを「サブスク」「サブスクリプション」といいますが、この現状と今後の展望について考えてみましょう。

サブスクリプション(サービス)とは

最近よく耳や目にする「サブスク」は「サブスクリプション=subscription」の略。寄付や出資、応募、申込、加入、署名、承諾などの意味があり、ITの進展とともに商品やサービスを買うのではなく、それらを提供する会社と使用契約を結び、毎月あるいは毎年、一定の使用料を支払い、商品やサービスを利用できるようにするビジネスモデルを「サブスク」「サブスクリプション」といいます。ネットの高速化で大容量のファイル、音楽や動画の配信がスムーズになったことや、多品種、小ロットの配送が速くなった物流の高度化、モノからコト、所有からシェアへの消費者マインドの変化を背景に、経済規模を問わず世界中の国々で急速に普及しています。

サブスクリプション(サービス)のメリット

サブスクは購入型とレンタル型の2種類があり、購入型は新聞の定期購読のように昔からありますが、最近は定額を支払うと毎日一本飲み物を買える「サブスク自販機」や毎月季節の花を届けてもらえる低料金サービスまで登場しています。レンタル型は急速に増えていて、買いたいけれど高くて手が出ない高級品、たとえば車や服、アクセサリーなどのサブスクがそれぞれ工夫を凝らしたサイトを設けてインターネットで気軽に申し込めるようになっています。サブスクは顧客が単品買いより安くモノやサービスを利用でき、企業は月額固定の利用料で予算を立てやすく通しやすいというメリットがあります。さらに企業は直接販売で個客とダイレクトにつながり、顧客を囲い込むことで売上が安定します。

サブスクの種類とメリット

日本のサブスクリプション(サービス)の現状と課題

日本では米欧アジアを中心に世界中で普及しているグラフィックデザインや写真・ビデオの編集ソフトを自由に使えるようにした月額固定タイプをはじめ、文書作成や表計算などのオフィス業務向けソフトや動画のインターネット配信が普及。一定額を支払えば借り放題になるサービスは洋服からバッグ、自動車まで広がり、有機野菜を定期的に届けるサービスも登場し、消費者の手堅い支持を得ています。ただ、顧客が同じようなモノやサービスを選ぶ際にどちらが安いかという経済合理性だけで判断すると、高い商品を買ってくれなくなり、収入が固定して、原価の変動による利益減少のリスクにさらされるというリスクがあります。しかし、例えば洋服では最近、スタイリストが選んだコーディネートで洋服を借りることができるサービスや、スーツのクリーニング、保管、補修もあるサービスが登場。単なるモノ買いではない、付加価値の高いサブスクが登場し、顧客・企業双方にとって利便性や収益性を高める工夫を凝らしています。

付加価値をつけたサブスク

サブスクリプション(サービス)のこれから

矢野経済研究所の推計では化粧品や衣料品なども含むサブスクの市場規模は19年度に6835億円。24年度には8割増の1兆2117億円まで拡大する見通しです。 もちろんデメリットもあります。提供する企業が他社への乗り換えを防ぐために、解約手続きを複雑にする仕組みです。商品の配送などのたびに今回はキャンセルするかどうか聞いてくるアマゾンのようなサービスがありますが、契約者が死亡した場合に家族が解約に苦労するケースは増えています。しかし、モノを持たない時代、サブスクが生活を支える重要な手段として浸透し定着していくのは間違いありません。今後は企業の制度設計の見直しや法規制が必要になると思われます。

伸びるサブスク