中小企業の成長・再生支援を強力に推進している、アベノミクスの「成長戦略」。中でも注目されているのが企業の在庫・売掛債権管理の強化です。当セミナーでは、企業が金融機関から融資を受ける際に求められる在庫管理、および「でんさい」を中心とした売掛債権管理のポイントとソリューションについて、日本動産鑑定 久保田氏と電子債権アクセプタンス 田中丸氏、さらにオービックが登壇しました。極めて興味深い新たな融資手法の登場に、メモを取りながら聞いている方が多くいました。
日本では従来、融資は不動産や個人保証に依存する傾向がありました。しかし、企業のバランスシートを見ると、売掛債権や動産など事業収益資産の占める割合が、土地の割合より大きいことが分かります。これら事業収益資産を、担保として有効活用できるようにするのがABLです。しかし、久保田氏は次のように呼びかけます。「融資の側面だけでABLを見るのはやめましょう。ABLの本質は企業実態の正当な把握にあります。企業実態を映し出す鏡となるのです」。
現状の金融機関は見えやすい財務分析は得意ですが、企業活動の実態、すなわち何をつくってどのように販売しているのかまでは把握できていません。「ABLはこの見えにくい実態財務に着目した原点回帰的な融資手法です。動産評価という目利き力がカギとなります」と久保田氏は説明します。実態財務を把握することで、金融機関はコンサルティング機能の発揮が可能となります。
図1 動産担保融資の本質と動産評価の意義
平成26年2月1日より「経営者保証に関するガイドライン」が適用となりましたが、久保田氏は適用に対して『金融機関は経営者保証を解除することにより、保全上のリスクが高まることは諫めない。その結果、金利に影響する可能性が充分に考えられる。」と説明しました。保全上の対応策として次の2つが考えられます。(1)として「在庫および機械などの担保取得(可能であれば売掛金も担保化)」と(2)として「ABL総合補償プラン(物流総合保険・取引信用保険)を付保し担保動産の滅失、毀損リスクおよび被担保債権のデフォルトリスクに対応する」ものです。「又、この条件を揃えることにより、金融機関は取扱い金利の引き下げも今後は考えられるのではないでしょうか。」と、金融機関の対応について語りました。
売掛債権担保融資は売掛債権を担保にするため、売掛金の変動によって融資可能額が変動します。ここにモニタリングの必要性が発生します。金融機関は単に売掛債権の金額だけではなく、どのようなプロセスの結果なのかを知りたがります。「仕入・販売・代金回収プロセス、これらモニタリングにスムーズに対応することが、ABLでは必要となります」と、田中丸氏は指摘します。
ABLに適した売掛金とそうでないものがあります。金融機関からABLを進められたら、まず「譲渡禁止特約」がないことを確認します。「取引先と交わしている契約書を確認してください。譲渡禁止特約が盛り込まれている場合は取引先の承諾なく担保にすることができません」(田中丸氏)。次に相殺取引でないこと。さらに、反対勘定がないこと。前払い債権でないこと。これらは担保としては不都合となります。
「ABLを検討する際、金融機関から調査が入ります。その際、調査をスムーズに進めるために次の作業を事前に行ってください」と田中丸氏は説明します。
さらに「借りることに成功した場合は、毎月金融機関所定の報告をおこなう義務が生じます。これら報告できないと融資の信頼関係が崩れ、評価額が低下しますので、確実に報告してください」と、注意を促します。
後半で田中丸氏は「でんさい」(電子記録債権)を取り上げ、制度化の目的が企業の資金調達円滑化にあることを指摘しました。売掛金・手形と「でんさい」の違いや利便性、でんさいを活用したABLやファクタリングなど「受取でんさい」で可能になる効果的な資金調達方法を解説しました。そして「ABLとでんさいを活用して、金融機関と強いリレーションを築いてください」と訴えました。
つづきは…
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