企業経営にとって重要性を増す企業不動産(CRE:Corporate Real Estate)。不動産を経営資源の1つに位置付け、活用・管理・取引に際し、企業価値最大化の視点から最適な選択を行うのがCRE戦略です。百嶋氏は、CRE戦略の重要性をいち早く主張し、その普及啓発に努めてきました。そこにはCSRの視点が欠かせないという、独自の主張がありました。
CREの重要性が高まっている背景には、経営環境の大きな変化がある、と百嶋氏は語ります。外国人持ち株比率の上昇や物言う株主の台頭など資本市場での変化や、2006年3月から強制適用された固定資産の減損会計といった会計制度の変化が挙げられます。また、J-SOXの適用により、内部統制の強化も要請されています。
「これらにより、企業はCREの適切なマネジメント体制を構築し、その下でCREを有効活用して十分なキャッシュフローを創出し企業価値を最大化することが求められるようになりました」。(百嶋氏)
企業の利益は、事業ポートフォリオ、設備投資、R&D、生産管理、マーケティング、企業財務、人的資源管理(HRM)、IT、そしてCREなどあらゆる経営資源の関数とみなすことができ、利益最大化のためには、これらの経営資源の全体最適化を図る必要があります。CRE戦略もこの全体最適化の中で決定しなければなりません。「そして、これらの一連の利益最大化プロセスを実行する上で、CSR(企業の社会的責任)の視点を踏まえることが欠かせません」と百嶋氏は強調します。
百嶋氏はCRE部門を次のように位置付けます。
「CRE戦略は、企業財務、HRM、ITなどとともに、社内に専門的・共通的な役務を提供して企業活動を支える、シェアードサービス型の戦略に位置付けられます。CRE部門では、事業部門に対する不動産サービス機能の提供者であるとの意識が常に必要となります。なかでも、中期的な経営戦略の遂行をサポートする不動産マネジメントの立案・実行が、インハウスのCRE部門の中核機能となります」。
その先進事例として紹介されたのが、日産自動車でした。カルロス・ゴーン社長による2005〜07年度中期経営計画「日産バリューアップ」における3つのコミットメントの1つに「投下資本利益率(ROIC)3年平均20%の確保」があります。これを実現するために抽出された経営課題が「国内販売ネットワークの再構築」であり、さらにこれをCRE戦略に翻訳することにより、「販社不動産の一元管理」という実行戦略が導き出されたものとみられます。具体的には、連結販売会社52社を販売事業会社と資産管理会社に分割し、資産管理会社を不動産子会社に吸収合併し、日産ネットワークホールディングスに社名変更しました。
「不動産管理の集約化の事例は日産自動車に続き、いすゞ自動車、商船三井、日本郵船、ダイドーリミテッドなどにも見られます」と百嶋氏は紹介しました。
後半は、さらに先進的なCRE事例の紹介に移ります。
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