オービック 情報システムセミナー 2011年夏 開催レポート 経営課題を強みに変える。攻めのイノベーション。 経営力強化で活路をひらく。

情報システムセミナー[2011年 夏] 基調講演(5) 経営管理 『経営の教科書』 -企業を伸ばす経営者の条件-

厳しい時代に経営を強いられる経営者の悩みは尽きません。しかし、逆境の時こそ会社は伸びます。こんな時こそ、リーダーの資質が求められ、その「経営の原理原則」について新将命氏が熱く語りました。通常なら3時間から4時間かかる内容を75分に圧縮。巧みな話術で笑いも入れながらの講演は、予定の時間があっという間に過ぎてしまいました。

2011年6月9日(木) 東京会場

B31
13:00-14:15
『経営の教科書』
-企業を伸ばす経営者の条件-
新 将命 氏
株式会社 国際ビジネスブレイン 代表取締役
ジョンソン・エンド・ジョンソン 株式会社 元代表取締役社長

不易の経営(勝ち残る企業創りの原理原則)

「40年にわたりいろいろな経営の現場を見て、はっきり分かってきたことがあります。業種・業態、規模に関係なく、勝ち残る会社には歴然とした『原理原則』があります。この原理原則を、しっかり覚えて帰ってほしい」と新氏は訴えます。

そして示されたのが下記フローチャートです。参加されたお客様は目を凝らして、フローチャートを見つめます。

フローチャートの解説に入った新氏は、初めに「株式会社の果たす最終的な責任は株主満足にあります」と主張します。

株主の満足が最も重要で、その株主満足を左右するものは業績です。
業績を上げる条件は、まず顧客満足。顧客が喜んで財布を開くという満足感があって、ものやサービスが売れ、業績につながります。顧客だけではありません。会社は社会や環境にも責任があり、これら満足を忘れた瞬間から、会社は傾きかけます。

では、顧客満足を実現するのは誰でしょうか。その中心人物は左から2つ目、社員にあります。社員の品質が顧客満足を左右します。品質とは、社員のスキルとマインドのこと。スキルとは仕事ができること、マインドとは人間的能力、特に信頼感や尊敬感や意欲のことです。また、社員にも満足は必要です。安易な現状是認ではなく、会社と仕事に誇りを持てるという満足です。誇りの持てる仕事は喜びにつながり、ワクワクモードで出社することになります。
社員がワクワクモードで仕事をすれば、商品・サービス品質も向上し、お客様も納得して購入します。

社員品質に不可欠なものが経営者品質です。「ロシアのことわざに『魚は頭から腐る』というものがあります。会社もこれと同じ。腐る会社はトップから腐るし、いい会社はトップが優秀です。企業は社長の力量に90%依存しています」と、新氏は主張します。

「このサイクルは1カ所でも切れてはいけません。どれか1つでも切れると流れは続かなくなり、企業は生き残ることはできません。経営とはこういうものなのです」と力説する新氏。多くの方がうなずきながら聞いていました。

人ザイの4タイプ スキルとマインド

上記フローチャートの左側2つは「人」であり、3つ目になってやっと「モノ」が入っています。これからも分かるように、会社は人が最も重要であり、人にかかっていると言っても過言ではありません。
「この『人』には4つのタイプがあります」と新氏は4種類の人材を図示したマトリクスを示します。

  • 人財 スキルとマインドもある

    やる気もあるし、仕事もできるというタイプ。「企業の成長に必須の人財です。このようなタイプは企業に5〜10%はいます」(新氏)。

  • 人在 スキルはあるがマインドが低い

    仕事はできるものの、自分から手を上げず、率先垂範がありません。「忠実に後から付いてくるフォロアーで、だいたい80%がこのタイプです。これは存在するだけの『人在』です」(新氏)。

  • 人材 マインドはあるがスキルがない

    仕事がまだできない新入社員に多いタイプ。「元気いっぱい、仕事さっぱりというフレッシュマンです」(新氏)。

  • 人罪 スキルもマインドもない

    仕事もできないし、やる気もないといったタイプ。新氏はこれらを酷評して「人罪」と分類します。「いない方がいいのですが、3%ぐらいは存在します。社内の敗者ですね」(新氏)。

リーダー人財力の2本柱

リーダーにはスキルとマインドが求められ、スキルとしてはとりわけ「リーダーシップ能力」が重要となります。リーダーシップ能力ではまず、「方向性(=理念+目標+戦略)」を示す能力が必要です。

「理念」とは「ビジョン=どうなりたいか」「使命感=誰のために何をするのか」「価値観=何が大切か」で構成されます。これに「目標」と「戦略」を加えた「方向性」を明らかにします。「部下に方向性を示すことで、目先の不平や不満が収まります。将来の夢とその実現方法を語りましょう」(新氏)。

さらに、部下に問いかける以下、4つのポイントを紹介しました。

  1. 今どこだ?(現状認識の共有)
  2. どうなりたい?(理念・目標)
  3. 何をどうやる?(戦略・戦術)
  4. どうなった?(PDCのCによる評価・学習・反省・改善)

「特に4つ目のチェックは重要です。部下に同じ間違いを繰り返させてはいけません」(新氏)。

マインドとして重要になるのが「情熱」です。「情熱は生まれつきあるものではありません。8割は後から育てることができます。人間の能力は5倍程度の差があると言われていますが、情熱は100倍もの違いがあります」と、新氏は訴えます。

自分の情熱に火を付けることも重要ですが、リーダーは部下の情熱に火を付ける点火型の人間でなければいけません。「中には部下の情熱を消していく消火型の人もいます。リーダーとしては失格です」(新氏)。

そして、情熱の火を維持するために、元気や活気をくれる友達を持とうと語ります。「友人は大事です。人間は今まで付き合って来たすべての人の総和です。友人の在庫リストをつくり、情熱の火を分けてくれる人と付き合いましょう。そうすれば、毎朝起きるのが楽しくなり、ひいては自分の人生が活性化します」と、会場に熱っぽく呼びかけました。

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