将来の企業成長を見据え、転換期に備える 変化の先の勝機をつかみ取る。 オービック 情報システムセミナー 2011年新春 開催レポート

情報システムセミナー[2011年 新春] 基調講演(3) IFRS特集IFRS適用を見据えたこれからの情報システム
オービックの業界・業務別ソリューション

IFRSへの移行を見据えて新たな情報投資を検討している企業も多く、中期的な視点に立って業務システム基盤の方向性を整理する時期に差し掛かっています。そこで本日は、IFRSの影響を考慮しながらグループ全体での経営管理に役立つオービックの業界・業務別ソリューションをご紹介していきます。

2011年2月8日(火) 東京会場

A43
14:30-15:30
IFRS適用を見据えたこれからの情報システム
オービックの業界・業務別ソリューション

IFRSに向けた情報システムの在り方

グループ経営管理の重要性を語る上で、まずはIFRSの本質について見ていきましょう。“IFRSは、企業の実態に即して誰が見ても分かるように情報を開示する、企業の実態を可視化する”というのが本質です。「財政状態計算書」は事業活動や営業活動、投資活動、財務活動のそれぞれに資産と負債の評価が求められ、財政状態計算書における純資産の増加分が包括利益計算書に記載されることになります。これらを含めて一連の流れの中で、事業のセグメントごとに情報開示が行われます。

ここで、情報システムに関する変更としては、いくつか注意すべきポイントがあります。それは、会計基準の差異や連結対象子会社への要求、セグメント情報開示への備えや情報共有基盤などで、グループ全体での経営管理においては必ず求められる要点です。

  1. IFRS導入に伴う会計基準差異をどう収集する?
  2. 多様化するセグメント情報開示に向けた備えは?
  3. 経営管理情報を社内共有し活用していけるか?

実際には、IFRSを契機に情報化投資を再考する企業が増えていますが、現在、多くの企業が所有している情報システムは、「複数システム乱立型」と「巨大システム単独型」という2つのパターンに分けられます。その中で、「複数システム乱立型」には、運用コストの増加や意思決定に必要な全社共有情報が分散してしまうという問題があり、「巨大システム単独型」には、変化が発生したときに柔軟な対応ができないという問題があります。IFRS対応を契機に情報化投資を再考する企業が増えていますが、その際にはこれらの状況を考慮する必要があるのです。

将来のシステムに求められるのは、経営環境に左右されやすい事業部門とある程度変化の少ない管理部門を切り分けて考え、仕訳データをやり取りするだけの疎結合で連携することで、柔軟なシステム対応が可能になるとオービックは考えます。

OBIC7が実現するIFRSへの取り組み

そこで大事なことは、認証管理やバックアップなどインフラ管理において技術基盤を統一すること、そして顧客管理情報や商品情報など全社共通の情報管理において活用情報の統一を行うことです。OBIC7では、販売管理や生産管理など業界特性に応じた部分とともに、財務会計など標準化された部分をパッケージとして2階層で構成しています。それ以外の共通基盤として必要となる、認証やロギング、アクセス権限なども標準的な仕組みとして提供できる環境を整えています。もちろん、ネットワークなどの回線や運用管理のためのツールなども提供可能です。

また、IFRSにおけるグループ経営管理というキーワードを軸に、既存システムを強化しています。単体会計中心だったものから、今は連結会計モジュールにまで拡張して提供でき、ワンクリックで単体会計から連結会計まで1つの仕組みの中で確認できます。また、事業セグメントごとに会社や部署など詳細な区分で管理会計を実現することが可能です。さらに、見たい情報を事前に定義することで、蓄積されたデータを可視化できる点も機能強化したポイントの1つです。最終的にマネジメントに活かすための、グループ共通の経営管理データベースの構築が可能となります。

早期対応が求められるIFRSの実態

IFRS対応については、2015年3月末の適用を視野に入れますと、一日も早く取り組み始めることが肝要です。IFRSでは常にムービングターゲットが継続し続けることになり、対応を待っていては前に進めることができません。ただ、単体会計側で日本基準とIFRS補正を手書きでやる方法をはじめ、日本基準とIFRS調整を行う方法、IFRSを個社ごとに作って報告する方法など、IFRSへの対応方法も企業によってまちまちです。それでも、OBIC7ではどの方法でも対応できるように準備しているため、ご安心いただければと思います。

また、固定資産についても移行初年度には期首簿価の遡及計算が必要になり、実務に大きく影響を及ぼすために早期の対応が求められます。特に固定資産として建物を多く所有している企業では、減損の戻し入れなどの処理が発生することを必ず念頭に置いておくべきです。有形固定資産も目的別に区分することが必要となり、投資不動産や売却目的保有資産とをきちんと分けて管理する必要があるのです。財務会計分野では、ある程度自由度の高い仕掛けを作り、帳簿の二重化や過年度遡及、IFRS差分調整などへの対応を行う必要があります。

オービックでは、すでに2011年3月までにはIFRSに関する大きなところは対応が済み、ムービングターゲットへの対応は適宜行っていく予定です。できるだけ機能の実装を早めることで、業務のイメージを持ってもらうことが重要だと考えています。当社は、お客様におけるIFRS対応の準備段階からさまざまな支援をワンストップでご提供できますので、できる限り早めにお声がけいただければと思っています。

IFRSがシステムに与える影響

セミナー当日は、「IFRSに向けた情報システムの在り方」についての講演に続き、「IFRSによる業務への影響」についての講演も、2つの業種別に行われました。

IFRSがシステムに与える影響<小売業・流通業編>

本講演は小売業と流通業を中心に、IFRSにおける業界別のトピックスを紹介する形で進められました。

収益認識と固定資産への対応がカギに

流通・小売業における物品販売についての収益認識は、現金での売買が発生する業態であるため、さまざまな条件に対する影響は少ないと考えられます。ただ、小売業であっても自宅まで配送したり、贈り物として時期をずらしたりする場合は、リスクの移転が行われていないことがあります。そこで、実際のIFRS対応方法としては、まず販売契約の見直しが必要になります。ほかにも決算期でまとめて対応する方法や、すべて検収基準で計上する方法もありますが、いずれも顧客にメリットを提示できるかどうかが重要です。

そのほかに考えられるIFRSの影響範囲としては、設置作業やアフターサービスなどを含む物品販売、割賦販売における金利の分類など、1つの取引を複数に分解しなくてはならない点です。これは仕訳の元になる明細を分けていかないと管理が難しいため、構成商品マスタを見直していき、それぞれに公正価値を見積もらなければいけません。

また、小売業では仕入先の商品を店舗に置いておき、販売されるまで仕入計上せず、購入されたら仕入計上するケースも発生しますが、この場合は手数料分のみを収益認識することになり、当事者と代理人の違いを判断する必要が出てきます。さらに、ポイント制などの特典を付けているケースがありますが、この特典分は販売時に収益認識できず、特典にかかる義務が履行された時点で収益認識することを理解しなければなりません。これを行うためには、付与するポイントの公正価値を管理しておく必要があります。日本のポイント制度は欧米のものと違って複雑であるため、仕訳までしっかりと落とし込んで考えていくべきでしょう。

そのほかのトピックスとしては、棚卸評価方法や売価還元法、評価減の戻し入れなどに関する棚卸資産の差異基準があることも意識して、システムに対する影響を見ておく必要があります。また、収益認識とともに固定資産も大きなトピックになります。店舗をたくさん持つ企業は固定資産も多く、インパクトがとても大きくなります。減価償却の取り扱いや毎期の見積もり、コンポーネントアカウンティングの採用など、固定資産システムでの対応が必ず求められるため、しっかりと情報を収集して影響度を把握してください。

IFRSがシステムに与える影響<製造業編>

本講演は、IFRSが与える製造業への影響を具体的に解明しつつ、重要なトピックスを紹介する形で進められました。

製品保証や固定資産など、行うべき対応は広範囲に

製造業では、製造保証が付帯する製品を収益として一緒に入れてはいけません。なぜならこれは、品質保証的な製品保証と保険的な製品保証を分けて会計処理をする必要があるからです。品質保証的な製品保証の場合、出荷後に回収する可能性があるものには、これまでの経験則から別途引き当て計上する必要が出てきます。一方、保険的な製品保証の場合は、製品価格と製品保証サービスに配分する必要があるのです。

もう1つの大きなトピックスは固定資産です。固定資産に関する日本基準とIFRS基準の差異は、定額法・定率法などに関する償却方法や耐用年数表から「想定使用年数」に変更になることや、耐久年数、残存価額、見積もりの変更、構成要素を詳細に分けて考える減価償却の単位など多岐にわたります。固定資産を多く保有している製造業が認識しておくべき差異はたくさんあります。この辺りは固定資産管理システム側で対応する必要があります。

製造業には、実際にリース契約を行っていない場合でも、実質的にリース取引とみなされる可能性があります。例えば、生産を行うための専用金型の取り扱いや、データセンターにおけるデータ処理の外部委託などです。自社工場に他社の原材料供給施設を併設している場合もリース取引とみなされる可能性があるため、オンバランス処理や減価償却を行う必要が出てきます。ほかにも製造業は、有償支給やアフターサービスなどについてもしっかり意識する必要があります。

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