[第2回] クラウド

クラウドは将来のデファクトになるか!?

「クラウド」とは、Cloud Computing の略で、インターネットを通してさまざまなITサービスを享受する仕組みを称します。利用者はインフラ基盤を所有することなしに、サービスだけを利用することから、裏側の仕組みが雲の中に隠れている様子を例えて「クラウド」という名称が付けられました。ここでは、その仕組みとメリット、将来性を考えてみましょう。

クラウドのサービス提供形態

クラウドと一口に言っても、そのサービス提供方式にはさまざまな形態があります。主な方式としては「Saas(Software as a Service):アプリケーションを提供」「Paas(Platform as a Service):OS環境を提供」「Iaas(Infrastructure as a Service):インフラ(ハードウェア)環境を提供」などが挙げられます。

さらには、自社のみ(1社)がサーバーを占有する「プライベートクラウド型」や、1つのサーバーの領域を複数のユーザー(企業)が分割して一部を使用する「パブリッククラウド型」に分類できます。一般的に、企業システムなどは「プライベートクラウド型」が多く、グループウェアや営業支援ツールなどの汎用的なシステムには「パブリッククラウド型」が適していると言われています。

ソフトウェア(アプリケーション):SaaS(アプリケーションの機能をサービスとして提供)、OS(プラットフォーム):PaaS(アプリケーションを実行・開発するためのプラットフォームをサービスとして提供)、マシン(インフラストラクチャ):IaaS(サーバーマシンやネットワークインフラをサービスとして提供)
提供形態に応じて、クラウドのサービスを分類

メリット・留意点と将来性

次に、クラウドのメリットや留意点から将来性を考えてみましょう。メリットとして挙げられるのは、①初期導入コストの抑制、②拡張性、③インフラ管理・場所の省略、④利用開始までの期間短縮、⑤災害時における可用性など。特に、①の初期導入コストを抑えられることは、IT投資額がネックで導入に踏み切れない企業には大きなメリットといえます。また、将来的に発生するさまざまな運用コストをいかに抑えながら、スピーディーに展開を図れるかが、企業のこれからの情報戦略を大きく左右することになります。

ただし、クラウドには、①カスタマイズ性が劣る、②セキュリティ面の不安、③障害時の対応などのマイナス面も指摘されており、クラウド化にはまだ課題が残されていることも事実です。

そのような環境にあっても、クラウドを採用する企業は着実に増えてきています。メリットや留意点を見極め、進展するグローバル化や経営のスピード化を実現するための将来の情報基盤として、また新たな持続的成長を支える戦略的ツールとして、経営強化計画の一案に組み入れてみてはいかがでしょうか。

メリット:1.初期導入コストが押さえられる、2.スペックの拡張が容、3.インフラ管理・場所が不要、4.利用開始までの期間が短い、5.災害における可用性対策 デメリット:1.カスタマイズが比較的難しい、2.セキュリティ面で不安が残る、3.障害時の対応・安定性
クラウド導入の「メリット・デメリット」の比較