オービック 情報システムセミナー 2011年夏 開催レポート 経営課題を強みに変える。攻めのイノベーション。 経営力強化で活路をひらく。

情報システムセミナー[2011年 夏] 基調講演(3) BCP 緊急時に備える事業継続対策(BCP)
〜総務・危機管理部門が抑える4つのツボ〜

3.11大震災の記憶が生々しく残っている中「緊急事態発生時の社内体制は整っていますか?」と市川氏は問いかけます。そして、「危機管理は『想定外』の出来事から始まります。『想定外』のことが起きたらどうするかに備えなければならないのです」と訴えます。従来とは異なる危機管理のあり方に、多くの人がショックさえ感じ、メモを取っていました。

2011年6月8日(水) 東京会場

A54
15:45-17:00
緊急時に備える事業継続対策(BCP)
〜総務・危機管理部門が抑える4つのツボ〜
市川 啓一 氏
株式会社 レスキューナウ 危機管理研究所 代表取締役社長
株式会社 レスキューナウ 最高顧問

3.11大震災を振り返る

「株式会社 レスキューナウ」は60名のスタッフが3交代でセンターに常勤し、24時間365日、世界中の危機状況を監視しています。自然災害、事件・事故、交通障害、感染症、テロ・暴動情報などを収集して400社の企業に提供。それら企業の中にはマスコミ等のメディア各社が含まれており、ニュースや記事として、私たちの元に届けられています。あまり表立った活動はしていませんが、一般企業にも危機管理に関する幅広いコンサルティングや訓練なども提供しているユニークな企業です。

同社の代表である市川氏は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の現場も訪れ、セミナー参加者に多くの写真を示します。被害を受けた小学校、機敏に行動する消防団員、活躍する自衛隊、ビルに乗った船、流された自動車、水産加工場……。そして、そこから得られる教訓を語りました。

「今回の震災のキーワードとなったのは『想定外』です。例えば、今まで2メートルの津波に備えていたが、今回は想定外の6メートルの波が来た。だから、これからは10メートルの波に備えようという。または、マニュアルを装備しようという。これでは解決策になりません。15メートルの波が来たらどうしますか。また想定外の事態が発生したら、マニュアルを増やしていくのですか?」
ここで会場が静まりかえります。「今回の教訓を生かすためにも、発想の転換をしましょう」と、市川氏は語り、本論へと入ります。

防災とBCP(業務継続計画)

日本は早くから自然災害大国と呼ばれてきました。「内閣府 平成21年度防災白書」によると、予知の可能性のある地震でも大きなものに、5つのグループ「東海地震」「東南海・南海地震」「中部圏・近畿圏直下地震」「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」「首都直下地震」があります。一番確率の高いのが日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の99%であり、今回これが発生したことになります。

「地震が多いのも当然で、地球上の十数枚のプレートのうち、4枚が日本付近で交差しています。だから火山があり、地震があり、台風で大雨となります。自然の恵みがある一方で、災害も多いのです。そして、そのために考えるのが『防災』です」と、市川氏は指摘します。

一方、今回の震災で議論され始めたものに「BCP(業務継続計画)」があります。BCPは米国同時多発テロの発生以後、世界的に注目を集め始めました。
「『防災』は人命の安全確保や物的被害の軽減を目的とするものです。これに対し、『BCP』は重要業務の継続と早期復旧です。防災の後に、BCPが必要となります」(市川氏)。

防災対策ではよく避難訓練が実施されます。放送が流れ避難し点呼をして終了、これが防災です。BCPは無事だったことを確認してから、業務を通常の状態に戻すところまでが含まれた計画であり、自社のみならず、電気や情報システムなどのインフラ、仕入先やお客様も復旧していなければなりません。
「BCPにいくらコストをかけるかはトップが決めること。売上や利益の維持のために完ぺきなプランを立てても、それがコストにプラスされては価格競争力が落ちてしまいます」と、市川氏は説明します。

BCPの鍵を握るのは『情報』

平時ではいろいろ想定して、評価分析、計画、対応の訓練などを行いますが、実際の場合は想定外のことが起きます。その想定外の環境で最も重要なことは何でしょうか。
「それが『情報』です」と市川氏は断言します。

災害の発生後、災害発生の把握、自社の被害状況の把握、取引先の被害状況の把握に務め、ここで得られた情報をベースに救護活動、復旧活動、復興活動の意思決定をします。「多くの場合は、この状況の把握ができないからパニックが起きるのです」(市川氏)。

さらに市川氏は「私たちは初動の3時間が命運を決めると考えています」と語ります。ここでは対応で3つ、情報の種類で3つあり、これがマトリクスになり計9種類の情報が必要となります。対応では、状況把握、意思決定、コミュニケーション。情報は発生事象、自社被害状況、取引先被害状況です。このあたりの話になりますと、短時間のセミナーではとても語り尽くせない、レスキューナウ独自のノウハウとなります。

「情報収集の手順にも21ステップあり、これを弊社はお客様に提供し、コンサルティングしております。もちろん、作るだけではありません。訓練も提供しています」(市川氏)。

3時間以内で災害状況の情報を提供

もっとも通常の企業が3時間で集めることのできる情報には限界があります。そこで、初動のポイントとなる3時間後には、一般的な災害状況をまとめたレポートをお客様に提供。「3時間後には1回目の意思決定をする対策本部会議が開かれます。そこで何一つ情報がないのと、今回の災害の概要がわかっているのとでは、決定される内容がまったく異なってきます」(市川氏)。

この3時間での被害情報として、企業での課題となるのが、社員の安否確認です。誰に支援が必要で、誰が支援できるのか。さらに、家族の安否まで把握できれば、無理に帰宅する必要もなくなります。

もっとも、大地震の際は電話が輻輳してしまうのでメールでの連絡体制の確保が必要となり、これにはシステム化が求められます。レスキューナウでは安否確認サービスも提供しています。スピーディ且つ低コストでのシステム導入が可能です。実際の運用では、異動や新入社員の入社などでマスターデータのメンテナンスが必要となります。そこで、レスキューナウではオービックと提携して、オービック7の人事システムと連携しマスターを最新の情報に保つ仕組みの検討を進めています。

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