2005年3月、新システムはオービックに決定。第1フェーズを「ビルメンテナンスシステム」「会計情報システム」の導入とし、プロジェクトはスタートした。当初の3ヶ月間は、要件定義、現状分析を徹底して行い、新業務フローを追求していった。プロジェクトの基本姿勢についてK社長は―「従来の自社のやり方ではなく世の中の標準に合わせる。この基本方針に徹することにしました。業務自体のあり方を、極力パッケージの方に合わせるのです。東京と大阪で異なる業務のやり方も、この際一本化しようと。つまり、システム刷新を業務改革のチャンスと捉え、環境変化に強い柔軟な人員配置や社内組織の再構築にも対応しやすくしたかったのです」
パッケージに合わせることを基本姿勢にしながら、業務分析の結果、自社の強みと思われる部分はソフトの方を実務に合わせた。自由なスタイルから、ある意味で統制の取れた業務スタイルへの改革を、システムと同時進行させていった。
業務の再構築についてT部長は以下のように語ってくれた。「特に苦労したのは見積でした。前システムではいわばワープロ感覚で営業が自由に作成できたのですが、新システムでは契約や原価との整合性が必要です。それが全体的な効率化に繋がることはわかっていたのですが、現場からの抵抗が大きかったことも事実です。現在も継続しているオービックのSEさんとの定例ミーティングで、こうした課題を一つ一つクリアしていきました」