情報システムセミナーレポート[2018年 夏] 人事管理 「働き方改革」時代の今、企業はどう向き合うべきか

2018年6月8日(金) 東京会場

D11
10:00-11:00
『働き方改革実行計画』主要テーマへの実務対応と就業規則の定め方
テレワーク、副業・兼業、長時間労働に企業はどう向き合うべきか?

佐藤 広一 氏
HRプラス社会保険労務士法人 代表社員 / 特定社会保険労務士 / 経営法曹会議賛助会員

2017年3月の「働き方改革実行計画」の策定に伴い、長時間労働対策やテレワーク、副業・兼業など、働き方改革の推進が企業に要請されています。しかし、具体的に何を実行すべきか判然としません。本講演では、政府が進める働き方改革実行計画の最新情報を紹介。企業が具体的に検討すべき課題を網羅的に整理するとともに、就業規則の定め方にも言及しています。

同一労働同一賃金への対応

同一労働同一賃金に対する各種法改正の話に入る前に、佐藤氏は2016年12月に示された『同一労働同一賃金に関するガイドライン(案)』の読み方をアドバイスしました。
「まず、誰と誰を比較するのか、次に何を基準に比較するのか。この2つを押さえてください。基準には

  • ① 職務の内容(業務の内容・責任の程度)
  • ② 当該職務の内容および配置の変更の範囲
  • ③ その他の事情

の3項目があります」(佐藤氏)。

「パートタイム労働法第8条」で比較するのは「正社員」と「短時間労働者」。両者が①の「業務の内容」でまったく同じ場合、「責任の程度」、②における職種変更や転勤の有無、③その他の事情で差がつけられない場合、同一の賃金を支払うことが必要となります。つまり、賃金に差を設けるのであれば、両者に格差がついた合理性を説明できなければなりません。

この読み方に従って、佐藤氏は「労働者派遣法第6条」「労働契約法20条」「ガイドライン案(前文・目的)」「短時間・有期雇用者労働法(改正パートタイム労働法)」を順次、解説していきました。ガイドライン案では、「前提条件が同じであれば同じ賃金を支払う。前提条件が違うのであれば、違いに応じた賃金を支払う」と記されています。「ガイドライン案では、基本給、賞与、諸手当、福利厚生」が挙げられていますが、企業が必ず検討しなければならないのは『諸手当』です」と佐藤氏は強調しました。

次に佐藤氏は、2018年6月1日に出された2件の最高裁判決について解説しました。ひとつは、正社員と非正社員の手当の格差をめぐる訴訟で、住宅手当を除く諸手当の不合理性について労働者側の主張が認められました。もう1件は、正社員と定年退職後に再雇用された嘱託社員との格差について争われた訴訟で、原告が定年退職後の再雇用者であることは「その他の事情」に当たり、不合理性はないとして会社側の主張が認められています。

多様な正社員への対応

「政府が進めている働き方改革実行計画とは、昭和レジームからの脱却です」と、佐藤氏は訴えます。労働人口が減少する中、正社員を中心とした画一的な働き方を変え、多様性を認めなければならない時代になっているのです。

正社員は、「従来型正社員」と「限定正社員」に分かれ、さらに「限定正社員」は「職務限定正社員」「勤務地限定正社員」「短時間正社員」に区分されています。「2極ではなく、中間層を厚くしたいという意図が読み取れます」と佐藤氏は話します。企業においては、これら多彩な社員をどこにマッピングするかの作業が必要になります。

雇用管理区分を明確にする

次に、佐藤氏は、3種類に分けられた限定正社員の就業規則のポイントを解説しました。職務限定正社員は、担当する業務が失われる場合に原則として解雇を想定せざるを得ず、この条文も示しておくこと。勤務地限定正社員は、営業所等が廃止された場合は解雇を想定せざるを得ず、この規定を盛りこんでおくこと。短時間正社員は、終業時間の選択肢を示しておくことを推奨しました。

時間外労働の上限規制への対応

時間外労働の上限規制は、現行の限度基準告示が法律に格上げされ、「月45時間、かつ年360時間」を超える場合は罰則が科せられることになりました。もっとも、これには特例(特別条項)があります。「上限は年720時間」とし、かつ、その720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合については、最低限、上回ることのできない次の上限を設けています。

  • ① 2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内
  • ② 単月では、休日労働を含んで100時間未満
  • ③ 特例条項の適用は、年半分を上回らないよう、年6回

「従来、特別条項により上限の時間の規定は設けられていませんでしたが、新たに規制が課せられました。これを超えたら労基法32条に抵触しアウトだとお考えください」と佐藤氏は指摘します。

勤務間インターバル・テレワーク・兼業

勤務間インターバル制度とは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に空けるべき一定の時間のことです。EUでは最低連続11時間の休息時間を求めておりますが、日本では9時間程度の導入にとどまっています。

また、働き方改革の一貫で、テレワーク採用が推奨されています。そのスタイルには「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」という3つがあります。「大手企業では導入が進んでいますが、本当に必要なのは中小企業ではないかと思われます。テレワークでの勤務を認めることで、既存社員をつなぎ止めておくことができます」と佐藤氏はテレワークの有用性を語ります。

オフィスを持ち歩く新しい働き方

副業・兼業を推奨するのは「雇用の流動化が目的であって、政府が成長産業に少しずつ雇用を移そうとしているのではないか、と思えます」と感想を語った佐藤氏。次にガイドラインを示し、本業と副業における残業時間の考え方を解説しました。

最後に佐藤氏は「今回の法改正は、70年ぶりの大改革であり、日本の労働環境は大きく変わろうとしています。審議中の法律を注視して、経営に役立ててください」と会場に呼びかけました。

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