情報システムセミナーレポート[2018年 夏] IFRS・グループ経営 企業グループの共通人事・給与システム導入と将来展望

2018年6月7日(木) 東京会場

C31
13:00-14:00
三菱重工グループでの取り組みに見る
企業グループの共通人事・給与システム導入と将来展望

野村 聡 氏
MHIパーソネル株式会社 取締役

グループ経営の改善・効率化を目的に進められる、人事や経理、総務業務のシェアードサービス化。本講演では、その先進事例として三菱重工グループにおける「人事・給与システム」を中心とした人事情報システムのシェアードサービス展開を紹介しました。講師は、たびたびオービック情報システムセミナーに登壇している、MHIパーソネル株式会社の野村氏が務めました。

企業グループの共通人事・給与システム導入

三菱重工グループは、持ち株会社を含めると160社で構成をする企業グループです。このうち20社の事業会社群と70社の主要連結会社があります。かつては、それぞれの会社で人事システムを構築・運用しており、個別・部分最適となっていました。このため、システムの運用・維持費用が多額化する、業務標準化が図れない、制度統一・システム統一が困難、スケールメリットが出ない、など多くの課題を抱えていました。

そこで、三菱重工業の人事労政部門を分社化しMHIパーソネルを設立したことを機に、親会社の人事業務支援とともに、事業会社・グループ会社の共通人事・給与システムの構築を開始しました。ここで採用されたのがOBIC7人事・給与情報システムです。

「システム選定に際しては、8社のパッケージを候補に、約50項目を精査して、最終的にOBIC7を採用しました。各社で共通利用できるASP型(現在ではクラウド型)を指向していることが最大のポイントでした」と野村氏は強調します。

OBIC7の人事情報システムと給与情報システムを核とした標準モデルを完成させ、現在では周辺システムの追加に取り組んでいます。

共通システムの構築・活用〜周辺システムの追加

さらに、グループ各社全員の人事情報を蓄積する、グループ会社共通人事システムの構築を目指しています。「これにより、グループをまたいだ人事異動や、人事情報検索が容易となります」(野村氏)。

人事システムの将来方向

講演の後半は、人事システムの将来の方向性に話題が移ります。野村氏は人事業務とシステムの変遷を「高度成長期」「構造不況・低成長期」「デフレ不況・少子高齢化」の3つに分け、「システム面では業務効率化・コスト削減」から「経営管理に資するシステム構築」へ、さらに「個社内での業務処理」から「シェアードサービス会社での業務処理」へ移行しつつあると解説します。

現在、人事システムの1つの方向性として注目されているものに「タレントマネジメントシステム」があります。「人事・給与のみならず、採用・育成・評価・配置・処遇・後継者育成までトータルにカバーするシステムが求められている」と、野村氏はシステムの動向を解説します。一方で、人事業務の現場ではRPAとBOTの活用が目立っていまると指摘します。

「BOTを利用することで、社員向けのヘルプデスクは効率化できると思われます。ただ、RPAに関しては、業務改善が先に来るべきではないかと考えています」(野村氏)。

質疑応答

講演の最後に野村氏は、質疑応答の時間を設けました。公演前にあらかじめ収集していた質問と当日会場で出た質問、その主なものを紹介します。

Q シェアード会社の設立とシステム構築のポイントは?
A 規則類の標準化・統一化およびシステム共通化を進めておくことが必要です。アラカルトで各社の要求に応えるのは大変です。また、給与計算は繁忙期が重なることが考えられますので、その対策も考えておくことが大切です。

Q 外国産のERPと国産ERP、どちらにメリットがあるか?
A 三菱重工グループの場合、親会社が先にSAPを導入しました。SAPはドイツのパッケージで堅牢で有用なアプリケーションですが、これを全グループ会社に共通システムとして入れるのはコスト的にも仕様にも無理があります。
海外展開をしていくのであれば、外国のERP、国内展開であれば国内のERPがいいでしょう。ただし国外国内は1つの分類に過ぎず、ERPの持つ機能の何を重視するかに関わってくると思います。

Q 100社ほどのグループ会社に共通システムの導入を検討しているが、現場が好き勝手を言って収拾がつかない…。
A システム構築の際の「敵」は身内です。これには毅然とした態度で交渉するしかありません。「業務プロセスの標準化でシステム構築」ということです。経営層からの注文も多いでしょうが、これも標準となっている帳票で十分ですと、理解させなければなりません。

Q シェアードサービスの導入と運用費、どのようにコスト配分すればいいか?
A 親会社が負担するケースは少ないようです。シェアード会社は事業計画と売上利益目標を立て、赤字にならないようグループ各社に相応の費用負担を求める場合が多いです。ただ、親会社が経理業務を統一するために、経理システムを刷新した場合は、親会社が負担するケースもあるようです。

質疑応答を終えて、野村氏は「シェアード会社設立に関してお悩みの方も多かろうと思います。システム構築に関してもいろいろな手法があるでしょう。多方面でヒアリングして検討していただければと思います」と語り、壇上を後にしました。

今後のセミナー開催案内をご希望の際は下記よりお問い合わせください。(案内状が出来次第、ご連絡させていただきます。)
  • お電話でのお問い合わせはこちら

    フリーダイヤル0120-023-019(受付時間:平日9:00〜17:30)

    Webフォームでのお問い合わせ

    情報システムセミナーなどのご質問・ご相談はお気軽にお問い合わせください。
    メールにて情報を案内させていただきます。

    メールにて案内を受け取る